出産後、「腰が重い」「立ち上がる時に恥骨が痛む」「育児の姿勢で肩や背中がつらい」と感じていませんか。こうした不快感の背景には、妊娠・出産を経た骨盤帯・腹部・骨盤底の変化が関係していることがあります。本記事では、ご自宅でできるチェック手順と、その見立てを整理します。大阪府内で産後の体の変化にお悩みの方は、大阪市城東区にある当院までお気軽にご相談ください。
産後の骨盤まわりの変化を気にかけるべき理由
産後の体は、妊娠中に分泌されるリラキシンというホルモンの影響を受け、関節や靭帯が柔らかくなった状態が続いています。リラキシンは妊娠初期から胎盤から分泌され、骨盤周囲の靭帯を緩めて出産に備えるとされています。ただし、海外の系統的レビューでは、リラキシンの血中濃度と妊娠関連の骨盤帯痛との関連について、現時点で示せる根拠は限定的であるとまとめられています[1]。
出産が終わり月日が経っても、骨盤周囲の組織はダメージを受けたまま回復しきらない場合があり、海外の研究では、産後3か月時点でも約10%の方が骨盤帯の痛み(Pelvic Girdle Pain:PGP)を継続していると報告されています[2]。産後の腰痛や骨盤帯の不快感についても、初産婦を対象とした前向き研究で、妊娠中の腰痛罹患率が77%、出産後52%、骨盤帯の痛みは妊娠中74%、出産後41%に達したという報告があり、多くの女性が慢性的な不快感を抱えていることが示されています[3]。
さらに、出産の方法は骨盤底機能にも長期的な影響を及ぼすとされ、イギリスとニュージーランドで1993/94年に出産した女性を20〜26年追跡した大規模コホート研究では、産後20年以上経っても尿失禁・便失禁・骨盤臓器脱といった骨盤底障害が一定の頻度で残存することが示されています[4]。骨盤まわりのサポートが弱いと、立ち上がりや歩行、抱っこの動作で不快感が出やすくなるだけでなく、肩や腰など別の部位への負担も増えてしまうことがあります。ご自身の体の状態を客観的に把握することが、回復への第一歩です。
【重要】これからご紹介するセルフチェックは、あくまでご自宅で「体と向き合う時間」を持っていただくためのものです。診断や評価を行うものではありません。
以下のような症状がある場合は、チェックを行わず、速やかに医療機関を受診してください。
- 強い痛みやしびれがある
- 歩行が困難、立てない、歩き方がおかしくなった
- 発熱がある
- 出血がある
- 排尿・排便の異常(強い痛み、頻尿、尿が出ない、便が出ないなど)
セルフチェックの前に知っていただきたいこと
ここでご紹介する各手順は、痛み誘発試験や骨盤帯痛の分類といった専門家向けの評価手法を、ご自宅でも無理のない形で行えるよう「目安」として簡略化したものです[5][6]。触れる力の強さや角度、解釈には個人差があり、自己チェックで得た所見は原因の特定や診断にはつながりません。骨盤帯痛の詳しい分類(例えば欧州ガイドラインで示される複数の疼痛誘発テストの組み合わせ)は、専門家による評価が必要です[5]。
なお、妊娠・出産期の骨盤まわりの不快感には、骨盤帯・腹部・骨盤底の状態だけでなく、姿勢や授乳・抱っこの動作、日常動作の使い方も影響すると報告されています[3]。「どれか一つが分かる」というより、「いま自分が体のどの部分に気づけるか」をメモする気持ちで取り組んでみてください。
【注意】チェックはすべて「痛みが強い場合はその場で中止する」ことを前提に行ってください。押す力を強めず、体の反応を見ながら進め、気になる所見はメモしておくと専門家に相談する際に役立ちます。
セルフチェック5つの手順(目安としての活用法)
1. 仰向けでの左右対称チェック(目安)
仰向けになり、両膝を立てて楽な姿勢を取ります。両側の上前腸骨棘(腰骨の前の出っ張り)に指先を軽く当て、左右の高さの印象をメモします。差は感じ方の域であり、診断的な意味はありません。押す力はごく軽く、痛みを感じたら中止してください。
2. 恥骨周辺の圧痛チェック(目安)
左右の恥骨結合の上に人差し指を当て、ごく軽く表面をなでる程度に確認します。恥骨結合を強く押し込むことは絶対に避けてください。出産後の数週間は多少の圧痛も珍しくありませんが、強い痛みや左右差が続く場合は、恥骨結合離開など骨盤帯の不安定性が背景にある可能性もあるため、専門家への相談をおすすめします。
3. 腹直筋離開(ダイアスタシス)の確認(目安)
仰向けで膝を立て、頭を軽く持ち上げて腹筋に力を入れます。おへその上と下で、腹筋の真ん中を指で縦に探ります。指2本分以上のくぼみがあり、指で軽く触れる程度で押し込めると感じた場合、腹直筋離開の可能性があるとされています[7]。決して強く押し込まず、頭を上げる動きも痛みがあれば中止してください。腹直筋離開は出産後の女性で有病率が30〜66%と幅広く報告されており、決して珍しくない変化です[8]。
4. 仰向けでの片足ブリッジ(目安)
仰向けで膝を立て、片足を軽く持ち上げます。腰や仙骨周囲、鼡径部に不快感やしびれが出ないかを確認します。妊娠中に用いられてきた自己施行型の検査では、左右差が見られるケースで骨盤帯の不快感が疑われると報告されていますが[6]、これは診断ではなく、あくまで「気づきのメモ」です。痛みやしびれが出た場合は無理をせず中止してください。
5. 尿もれ・骨盤底の自覚症状(目安)
くしゃみや抱っこの瞬間に尿もれがある、性交時に痛みや違和感がある、といった症状はありませんか。これらは骨盤底機能の低下を示すサインとされ、産後の女性を対象とした系統的レビューでは、産後6週から1年までの尿失禁の有病率が24〜40%と報告されています[9]。英国では出産後の女性に対し専用の自己評価アンケート(ICIQ-PPHSAQ)を用いて自覚症状を整理することが推奨されています[10]。
【重要】これらのチェックは診断や評価の代わりにはなりません。チェック中に強い痛みやしびれを感じた場合や、上記の受診が必要な症状(発熱・出血・排尿排便異常・歩行困難など)が出現した場合は、ただちに中止し、医療機関を受診してください。
チェックを通じて気になるサインがあった場合は、その内容をメモして、専門家による全身的な評価を受けることをおすすめします。
セルフチェックで気になるサインがあったときにできること
ご自宅でできる工夫としては、骨盤まわりの負担を減らすための以下の習慣があります。
- 横向きから起き上がる(腹直筋離開がある時期の起き上がり方の工夫)[7]
- 抱っこは片側に偏らないよう、こまめに左右を入れ替える
- 床に座る生活では、仙骨の下に薄いクッションを入れて骨盤を起こしやすくする
それでも不快感が続くようであれば、骨盤帯・腹部・骨盤底だけでなく、全身の構造的なつながりを丁寧に見直すことが望ましいとされています。妊娠中および産後の腰痛・骨盤帯の不快感に対するオステオパシー手技の効果については、海外の系統的レビューとメタ分析で臨床的に意義のある有用性が示唆されています[11]。また、オステオパシー手技の安全性については概ね良好であると報告されていますが、適応の判断が重要であり、すべての状態に一律に適するとは限らないとされています[12]。
当院での対応と強み
当院のスタッフは、国家資格である理学療法士の資格を取得しており、解剖学・生理学の知識を土台に、メカニカルリンクオステオパシー(LMO)の体系的な全身評価と手技を用いています。LMOは1970年代にフランスのオステオパス、ポール・ショフール氏によって体系化された手技で、結合組織の状態を全身から読み取り、変化の根本に関わる部位を探るアプローチです。
ご来院時には、産後の骨盤まわりの状態だけでなく、日常生活の姿勢や抱っこの動作、内臓や横隔膜の動きまで含めて全身をひとつのユニットとして確認します。部分的なマッサージや慰安的な手技ではなく、ご自身の体が本来持っている回復力を引き出しやすい状態へ整えることを目的としています。
大阪府内で通いやすい立地
当院は、大阪メトロ長堀鶴見緑地線・今里筋線「蒲生四丁目駅」から徒歩1分の立地で、平日20時まで、土日祝日も17時まで営業しており、小さなお子様連れでも立ち寄りやすい環境です。
住所:〒536-0004 大阪府大阪市城東区今福西3丁目6−32 DGビル蒲生4丁目 4A 営業時間:平日 9:00〜20:00/土日祝 9:00〜17:00 定休日:年末年始のみ 電話:06-7178-1862 メール:info@trust-osteopathy.com ご予約:https://trust-osteopathy.com/contact/
まとめ
産後の骨盤帯・腹部・骨盤底の変化は、多くの方が経験する変化です。ご自宅でのセルフチェックで「左右差がある」「不快感が続く」「腹直筋離開が疑われる」といったサインに気づいたら、まずは体の使い方を整える工夫を試しながら、無理をせず専門家による全身的な評価を受けることをおすすめします。産後の腰痛や骨盤帯の痛みでお悩みの方は、大阪市城東区に位置する当院までお気軽にご相談ください。

オステオパシー整体院トラスト
- 住所:〒536-0004 大阪府大阪市城東区今福西3丁目6−32 DGビル蒲生4丁目 4A
- アクセス:長堀鶴見緑地線「蒲生四丁目駅」エレベーター出口徒歩5秒/今里筋線「蒲生四丁目駅」2番出口徒歩1分
- 交通:大阪メトロ長堀鶴見緑地線・今里筋線「蒲生四丁目駅」徒歩1分
- 営業時間:
- 平日:9:00〜20:00
- 土日祝日:9:00〜17:00
- 定休日:年末年始のみ
- スタッフ:4名(全員LMO施術可能)
- 院長:北内俊充(オステオパス、理学療法士)
監修者プロフィール

◆執筆
杉山主馬(理学療法士)
大阪市城東区のオステオパシー整体院トラストで痛みや痺れなどの症状に対するクライアントへの施術を担当。理学療法士の国家資格を持ち、総合病院において脊椎や股関節・膝関節の手術後リハビリテーション、外来での肩関節疾患、足部疾患、腰部疾患など様々な臨床現場を経験。LMO(メカニカルリンクオステオパシー)技術を学び、解剖学・生理学の知識を活かしながら、お一人お一人の症状改善のサポートに努めている。

◆監修
北内俊充(オステオパス、理学療法士)
理学療法士国家試験を取得後、総合病院、クリニック、在宅医療の現場を経て、2012年オステオパシー整体院トラストを開業。痛みとしびれでお困りのクライアントを中心に施術を行っている。理学療法士免許の他に日本トラディショナルオステオパシーカレッジを卒業し、D.O.の称号を取得。LMO(メカニカルリンクオステオパシー)というフランスで発展したオステオパシーの国際教育ライセンスを保有し、専門的な技術と豊富な臨床経験を活かした施術を提供している。オステオパシーの教育にも携わっており、日本を中心に台湾でも教育を行っている。国際的な視野でオステオパシー技術の普及と発展に貢献しており、院内では全スタッフへの技術指導を行い、同水準の高品質な施術が提供できる体制を構築している。
参考文献
[1]Aldabe D, Ribeiro DC, Milosavljevic S, et al. Pregnancy-related pelvic girdle pain and its relationship with relaxin levels during pregnancy: a systematic review. European Spine Journal. 2012;21(9):1769–1776. doi:10.1007/s00586-012-2162-x. PMID: 22310881. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22310881/ ※本レビューでは、リラキシン血中濃度と妊娠関連の骨盤帯痛との直接的な関連について、現時点で示せる根拠は限定的であると結論づけられています。
[2]Halliday B, et al. Evaluating the Management of chronic Pelvic girdle Pain following Pregnancy. PMC12023510 (2025). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12023510/
[3]Dunn G, Egger MJ, Shaw JM, Yang J, et al. Trajectories of lower back, upper back, and pelvic girdle pain during pregnancy and early postpartum in primiparous women. Women’s Health (London). 2019;15:1745506519842757. doi:10.1177/1745506519842757. PMID: 30991911; PMCID: PMC6472169. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30991911/
[4]Hagen S, et al. Urinary incontinence, faecal incontinence and pelvic organ prolapse symptoms 20–26 years after childbirth: a longitudinal cohort study. BJOG. 2024;131(13):1815–1823. doi:10.1111/1471-0528.17913. PMID: 39079703. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39079703/
[5]Verstraete EH, Vanderstraeten G, Parewijck W. Pelvic Girdle Pain during or after Pregnancy: a review of recent evidence. PMC3987347 (2013). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3987347/
[6]Olsén MF, Gutke A, Elden H, et al. Self-administered tests as a screening procedure for pregnancy-related posterior pelvic pain. PMC2899498 (2009). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2899498/
[7]Cleveland Clinic. Diastasis Recti (Abdominal Separation): Causes & Management. https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/22346-diastasis-recti
[8]Skoura A, Billis E, Papanikolaou DT, Xergia S, et al. Diastasis recti abdominis rehabilitation in the postpartum period: a scoping review of current clinical practice. International Urogynecology Journal. 2024. doi:10.1007/s00192-024-05727-1. https://link.springer.com/article/10.1007/s00192-024-05727-1
[9]Moossdorff-Steinhauser HFA, Berghmans BCM, Spaanderman MEA, et al. Prevalence, incidence and bothersomeness of urinary incontinence between 6 weeks and 1 year post-partum: a systematic review and meta-analysis. International Urogynecology Journal. 2021. doi:10.1007/s00192-021-04877-w. https://link.springer.com/article/10.1007/s00192-021-04877-w
[10]Uren A, et al. Assessment of Perinatal Pelvic Floor Dysfunction Symptoms and Risk Factors: Measurement Properties of the ICIQ-PPHSAQ. BJOG. 2024. doi:10.1111/1471-0528.70236. https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1471-0528.70236
[11]Franke H, Franke JD, Belz S, Fryer G. Osteopathic manipulative treatment for low back and pelvic girdle pain during and after pregnancy: a systematic review and meta-analysis. Journal of Bodywork and Movement Therapies. 2017;21(4):752–762. doi:10.1016/j.jbmt.2017.05.014. PMID: 29037623. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29037623/
[12]Bagagiolo D, Rosa D, Borrelli F. Efficacy and safety of osteopathic manipulative treatment: an overview of systematic reviews. BMJ Open. 2022;12(4):e053468. doi:10.1136/bmjopen-2021-053468. PMID: 35414546; PMCID: PMC9021775. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35414546/














