お名前 | K.U様 |
---|---|
年齢・性別 | 21歳 男性 |
職業 | 大学生・水泳部 |
お悩みの症状 | 右足首の捻挫(足根洞症候群) |
ご来院いただいた経緯
来院の3~4年前に右足首の捻挫を起こしてしまい、整形外科にて「3度の捻挫」と診断を受けられました。
(※捻挫には1~3度のレベルがあり、3度は完全な靭帯断裂が起こり、炎症症状に加え皮下出血も起こる。歩行困難であり、強力な固定もしくは靭帯の縫合手術が必要)
ギプス固定にて治療をし、その後も右足関節の不安定性が継続していたものの日常生活、水泳ともに行うことができていたそうです。
しかし、来院の約7カ月前、水泳でフィンを付けてキックをした際に右足首の痛みが強く起こります。
しばらく様子を見てみたそうですが、痛みがなかなか引かないため5月に整形外科を受診し、右足の足根洞症候群と診断。
以降2回ステロイドの注射をするものの右足首の痛みが再発し、改善が見られないためインターネットにて当院に来院されました。
大きな合併症はなし
当院での施術
施術は7/29~8/31の期間に計3回行いました。
初回検査と施術(7/29)
骨盤は左に回旋し、左の腸骨が後方回旋、右の腸骨が前方回旋、腰椎は1~5番までがグループで左回旋と右側屈にねじれている。
特に腰椎の4番と5番に強いテンションがある。
その他、重要な兆候として右足首の捻挫を起こした時に加わった外力が周囲の関節、筋膜に残っており、脛骨の下端の成長線、骨間膜、腓骨の変位、足根骨である踵骨、距骨、舟状骨などの変位も認められた。
捻挫の外傷時に加わった外力の影響が筋膜、関節、靭帯に残っており、この外力が筋膜を通じて頭蓋骨にまで到達し全身の構造バランスが崩れていた。
これにより、横隔膜、骨盤隔膜(骨盤底筋)のねじれも起こり、右下肢の循環低下を引き起こしていた。
捻挫の外傷の外力による影響を右足から頭蓋にかけてリリースし、全身の調整を行いこの日の施術は終了。
2回目の施術(8/8)
しばらく痛みが引いていたが、泳いだ時に痛みが出たとのこと。
全身の骨格のバランスは改善している。
この日も全身の調整を行った。
3回目の施術(8/31)
痛みは軽くなっている。泳いだ時にやや気になるとのこと。
全身の構造バランスは良好であった。
恐らくこれで痛みは安定するだろうと判断し、しばらく様子を見てもらうことをお伝えした。
*約2か月後10/26(別件でご来院される)
筋トレ(ベンチプレス)中に左の背中~腰に掛けての痛みが起こり、来院された。
この時、右足関節の調子をお聞きしたところ、
「まったく問題なく水泳ができています。捻挫する前と同じくらい調子が良いです。」
とのこと。
この日は左背部、腰部の痛みに対する調整を行った。
当院からのコメント
このクライアントの場合、捻挫の重症度が3度であり、靭帯断裂が起こっているため右の足関節は慢性的に不安定であると言えます。
足根洞症候群の痛みが発生したが、完治された理由として
① 捻挫の急性期にステロイドを使用しなかったこと
② 捻挫の外傷の外力が右足~頭蓋骨まで筋膜、靭帯の外力が残っており、これが機械的ストレスと循環機能の問題を起こしていたため、対処可能なポイントがあったこと
であると思われます。
まず①に関して、捻挫の急性期にステロイドを使用すると、急激に炎症が抑えられ痛みは軽くなりますが、その代償として、周囲の軟部組織の修復もストップしてしまいます。結果、足関節がずっと不安定な状態が継続されます。
そのため捻挫の再発を繰り返したり、慢性的な痛みが継続したりと、予後が悪くなるケースが多いということはアメリカにおける研究でも明らかになっている様です。
このクライアントの場合、急性期にはステロイドを使用せず、固定による治療を行ったため可能な限り挫傷した組織が回復できたのだと考えています。
② について、人体は常に自己調節能力が働いており、通常、多少の外力が加わったとしても、それを正しい状態に自己修正することができます。
しかし捻挫のような急激な外力が加わった場合、人体に備わっている自己修正能力ではキャパオーバーとなり、筋膜や靭帯、骨膜の組織に牽引力、圧迫力、回旋力が保持された状態で固定化されてしまいます。
これはオステオパシーのコンセプトに基づき、施術することでバランスを回復することができるケースが非常に多いのです。
今回のクライアントの様に右足の捻挫の外傷の影響が体幹、頭蓋骨に及ぶケースは珍しくありません。
外傷部位のみではなく全身に波及した影響を観察・触診で明らかにすることができれば、右足の痛みが改善するために必要な呼吸・循環・神経伝達などのシステムが再び本来の機能を取り戻し、自身の体が治癒の方向に向かうことができます。
整骨院などに通ってもなかなか改善しない痛みや不調にお困りの方は一度当院にご相談ください。きっとお力になれると思います。